University of Washington in St. Louis 施設訪問

【ブログ】

当院の放射線治療部門のプロジェクト「世界最高水準の放射線治療チームの育成と地域及びアジア近隣諸国への展開」の一環で、2018年11月28日から30日までの3日間、University of Washington in St. Louis(セントルイス・ワシントン大学)に施設訪問に行ってまいりました。

セントルイス・ワシントン大学は医学領域が特に有名な全米有数の医療機関です。

多くの附属施設がある中でSiteman Cancer Center(サイトマンがんセンター)とSt.Louis Children’s Hospital(セントルイスこども病院)で小児がんに対する治療を中心に見学してまいりました。

今回は、医師1名、医学物理士1名、診療放射線技師2名、病棟看護師1名、チャイルド・ライフ・スペシャリスト2名の計7名で施設訪問いたしました。

今回の訪問の大きな目的は、小児医療における多職種間のチーム医療を学ぶことです。

そのために訪問前から今回の訪問の目的とスケジュールに関して協議させていただき、3日間で小児放射線治療医、小児科外来看護師、チャイルド・ライフ・スペシャリスト、ボランティアマネージャー、メディカルソーシャルワーカー、臨床心理士、病院のschool teacher・・・等々、様々な職種の方々とディスカッションする機会を得ることができました。

チャイルド・ライフ・スペシャリストという資格はまだ日本では馴染みのない職種ですが、アメリカでは小児医療においてとても重要な職種で、医療環境にある子どもや家族に、心理社会的支援を提供する専門職です。子どもや家族が抱えうる精神的負担を軽減して、主体的に医療体験に臨めるよう支援し、「子ども・家族中心医療」を目指します。チャイルド・ライフ・スペシャリストは日本全国に40-50名程度で広島県には当院に在籍されているお二人だけとのことですが、セントルイスこども病院では約20名のチャイルド・ライフ・スペシャリストが24時間体制で小児医療を支援しています。

またセントルイスこども病院には子どものプレイルーム、患者の兄弟のためのプレイルーム、ティーンエージャー用のプレイルーム、図書館、さらには子供用のCTの模型など、子どもが医療をスムーズに受けるための設備が多数あります。そうした充実した設備やスタッフがあってはじめてできることもあると思いますし、やはり施設や人員の充実はとても重要なことと考えます。

一方で限られた人材や設備の中でチームとして何ができるかに目を向けることも重要です。

今回の施設訪問中にセントルイスこども病院の様々な職種の方と我々のチームでディスカッションする場を設けていただきました。

「チームをよくするにはどうしたらよいか」というテーマは、簡単に答えるにすることは難しい問いですが、
こども病院の皆さんから学んだことは、自分以外の職種に関して「理解することと尊重すること」が重要であるということです。

一人ひとりが自分の職種に関して“プロフェッショナル”であることに誇りを持ってその専門性を高めていく。
そのため職種と職種の間にはある程度明確な境界があってその境界を超えた部分に関しては専門家の意見を尊重するスタンスが重要です。一方で相手の専門を理解することがその前提として必要であり、そのためにセントルイスこども病院では新しくチームに加わったメンバーが、他の職種の働きを理解するために、自分と異なる職種の方から十分に話を聞き相手の専門を理解する時間を設けているとのことでした。相手の専門性を理解し、かつ互いに相手の専門性を尊重することはチーム医療を実践する上でとても重要です。特に小児医療においては患者本人だけでなくご両親や兄弟といった家族のケアも重要であるためチームで医療の質を高めていくことがとても重要であると感じました。

今回は小児医療を中心に見学させていただきましたが、放射線治療においてはチーム医療を実践することは非常に重要なテーマであり、今後も“世界最高水準の放射線治療チーム”としての医療を実践するために様々な医療機関でチーム医療についての知識を深めていきたいと思います。